コーヒーとからだのおいしい話

     

からだに、そして心にもうれしいコーヒーの美味しい情報です。

コーヒーの不老力 その3

(アンチエイジング)

コーヒーの力で血管を若く保つ

動脈硬化は血管の老化現象

食生活が豊かになるにつれ、日本人の体格は向上し、寿命は世界一を誇るまでになりました。 しかし、その一方で、以前はほとんど見られなかった病気が増えてきています。 心筋梗塞や脳梗塞といった疾病も、こういった病気の仲間です。

心筋梗塞と脳梗塞は、ともに血管が詰まってしまう病気です。 そして、これらの疾病の原因となるのが動脈硬化です。 健康な人でも年齢を重ねるうちに、動脈は弾力を失い、硬くなってしまいます。 

動脈硬化はいわば血管の老化現象なのですが、この動脈硬化をさらに悪化させるのが、コレステロールなどの脂質です。 

コレステロールは体に欠かすことができない成分なのですが、増えすぎると動脈の中で悪さをしてしまうのです。 コレステロールなどが動脈の中で酸化し、動脈の内壁にドロドロのお粥のような状態となって沈着するのです。 次第に動脈の中は狭くなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因の1つとなります。

ここまでコレステロールと大雑把な言い方をしましたが、実はこのコレステロールには、LDL(低比重リボたんぱく)コレステロールとHDL(高比重リボたんぱく)コレステロールがあります。 両者のバランスが崩れ、LDLが増えすぎると動脈硬化が進みやすくなります。

動脈硬化を予防するため、つまり血管を若く保つためには、LDLとHDLのバランスを整えてやればいいわけですが、子にHDLを増やすはたらきがあることがわかっています。

 

クロロゲン酸が血糖値を抑制する 

防衛医科大学校第一内科の伊藤利光医師(現・自衛隊中央病院内科)らのグループは、培養した比と肝細胞を用いて、コーヒーがHDLの合成に与える影響について調べています。 ヒト肝細胞にドリップコーヒーを加え、細胞の変化を調べたところ、HDLの主要タンパクであるあぽAIの合成を上げることがわかりました。(図3)

伊藤医師らは、さらに、女性のほうがHDLを増やす効果が高いことを示唆する実験結果を得ています。 ヒト肝細胞にエストラディオールという女性ホルモンの補充剤をコーヒー成分とともに加えたところ、アポAIが約1.5倍に増えるという結果を得ることができました。

これらはあくまで培養細胞のでのじっけんですが、伊藤医師らはホルモン分泌の活発な若い女性に4週間コーヒーを常飲してもらうという実験も行いました。常飲前と比較したところ、17%もHDLが上昇したことが認められています。

また、和歌山県立医科大学内科学第3講座(当時)の湯川進教授は、男子学生を対象にして、コーヒーをLDLの関係について調べています。男子学生に1週間、1日8gのコーヒーを飲んでもらったところ、LDLは酸化しにくくなり、LDLの数値も有意に下がったという結果を得ています。

 

コーヒーのもつ、血液サラサラ効果

心筋梗塞や脳梗塞は血管が詰まる病気であるといいましたが、血管を詰まらせる直接の原因になるのが、血栓というたんぱく質の塊です。 血栓が血管の中をめぐり、心臓や脳の近くで詰まり、血液の流れをストップさせてしまうのです。

血栓は本来、血管が傷ついたり、出血が起こったときに固まって血を止める役割をするものです。役目を終えると血栓溶解酵素が働き、解けてしまうはずなのですが、加齢やストレスによってこの酵素がうまく働かなくなることがあるのです。

倉敷芸術大学大学生命化学科の須見洋行教授は、コーヒーが血栓溶解酵素に与える影響について調べています。 ヒトの細胞を使った実験では、t-PAという血栓溶解酵素を活性化させる物質を生成する細胞に、人工的に血栓を作り、そこにコーヒーの抽出液を加える実験が行われました。 その結果、血栓溶解酵素が活性化され、血栓が解けるということがわかりました。

また、一連の実験の結果、特にコーヒー酸をクロロゲン酸という成分に、血栓溶解酵素を活性化する能力が高いことがわかっています。 

COFFEE TIME

お酒を飲む方はコーヒーもどうぞ

九州大学大学院医学研究員予防医学分野の古野純典教授らは、コーヒーと酒量、肝機能の関係について調べています。

ビールを毎日1本ぐらい飲む人について、コーヒーを毎日3~4杯飲む人とほとんど飲まない人を比較すると、コーヒーを飲む人のほうが、γーGTPが平均で10以上低いことがわかりました。 γーGTPは低いほど、肝機能は良好です。

また、三越厚生事業団三越総合検診センターの船津和夫署長は、飲酒者のγーGTPの値が血圧と相関関係があることに着目し、コーヒーと酒量、血圧の関係について調べています。 

この調査の結果、1日3杯以上のコーヒーの飲用は、飲酒者において高血圧を改善することが明らかになっています。 コーヒーの効果は飲用1週間後から表れ、コーヒー飲用を中止すると血圧が上昇する傾向があるという結果が出ています。

 

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